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空っ方の僕達は、裏口を探した。この店の裏口の位置は度々変わるのだ。
二礼二拍手一礼をして、ベニヤの二枚板に体を当てると、扉は間抜けた音を立て、沼の傍まで僕達を運んだ。
店主のクライム・Bを待つ間、僕達は手持ち無沙汰で、腰を下ろそうにも地面が泥濘んでいるので、静かな沼を見つめるしかなかった。
突如、ガシッとした音がシルエット・Qから聞こえた。
ブロンズの髪の男が、スコップでシルエット・Qを押し込んでいたのだ。
「おい、コラム・N!お前も手伝え!こいつ、鬱な眼をしておいて、なかなかしぶとい…!ガタイが良いからかなぁ?!」
「待って、おじさん」
僕は言葉でクライム・Bを制止する。
泥の付いていない新品のスコップを態々出してもらったが、まず、この誤解を解かなくてはならない。
クライム・Bはシルエット・Qを、沼に沈めて殺そうとしている。
「違う、その人は。僕が殺したいと思った人間じゃない」
「えっ」と言い、クライム・Bはスコップで沼と逆向きにシルエット・Qを押し戻した。
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