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「危ねえぇー!Crime・Bになるところだったぜぇ。俺はぁClimb・B。登っていかなくちゃぁならない」
お前は、としゃくって、僕の隣の友人にも自己紹介を促す。
「二人は、どう云った関係で?」
シルエット・Qは妙に冷静な調子で質問した。
「遠ぉい親戚だそうだ。俺のじっちゃんと、こいつの母親が、なんかぁ、こう、仲良し?肝心なことは、知らない――知りたいんだけどな」
僕は首を縦に振り、本題を切り出す。
「彼、シルエット・Q君って云うんだけど、僕と同じで空っ方なんだ。白夜の街に朝焼けも夕焼けもない様に、自分も、自分が持っていた夢もないんだ」
「ちょっと待てぇ。お前、空っ方なのか?てか、空っ方ってどぉ云ぅ意味だよぉ?!」
クライム・Bはブロンズの髪をかき上げた。彼の髪質は"紙"の様で、掻くと皺くちゃになる。
その度に僕は、気に入らなくて、ぐちゃぐちゃに丸めた読書感想文の原稿を思い出すのだった。
僕は、包帯を巻いた人差し指を見せた。
「切れた。扇風機で。今は痛くないけれど、思い出すだけで痛い――あまり上手く覚えていないけど」
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