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「で、利き手の指を失ったショックで、お前は空っ方な少年になっている。で、合ってる?」
そういえば、"人差し指=僕"を他人に説明するのは難しい。
ここは、そう云うことにしておこう。
「そう。で、シルエット・Q君は、クラスメイトを近くで失ったんだ。指の方が圧倒的に軽症なのは分かっている。でも、同情せずにはいられなかった…!」
クライム・Qは興味を示さず、スコップをひょいっと真上に投げた。
自由落下することなく、スコップはどこかに収納された。
「で、調べたんだけど、死んだクラスメイトのジグソー・P(享年十二歳、男、身長130cm、体重36kg)の遺体は見つかっていない」
「興味が出た」
クライム・Bはスコップを持ち直し、腰を上げた。爪先はもう沼の方へ向いていた。
「俺は興味が出たぞぉ。だからお前らも興味を出せ」
僕はそれなりにやる気だったが、それ以上の気勢は生まれなかった。
"僕"がいなくなって以来、強いやる気、死ぬ気で何かをすると云うことは金輪際訪れないのかもしれない。
が、先ずは状況を理解できていないシルエット・Qに得意顔で説明しなくてはならない。
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