拝み屋

見たくないもの

疲れて帰ってきて、即寝る。これがいつものルーティン。

…あれ、この感じ…

あー、夢だ。

久しぶりに見るから嫌だなぁ。

なんか、テレビ見てる。なんだこれ、あなたに会いたい？

「息子は、置き手紙を残していなくなりました。探さないで下さいと書いてありました。ですが、私たちは、会いたいんです」

この女性は誰だ。

「警察には言っていません。…家出なので。私たちが、厳しくしすぎて、しまったのかもと…」

「母さん、それは言わない約束だろ？息子の心はまったくわかりませんでした。本当に突然家を出て行って。もし、私たちがなにかしていたとしたら、本当に申し訳ない！この映像をもし見ていて、償えることがあれば…待っているよ」

誰かの父親…？

「ご自宅は息子さんがいなくなってからも同じですか？」

「はい、もちろんです。部屋も、そのままです…。近辺は探し回ったのですが、どこにいるか検討もつきません」

「それは、お辛かったですね…こちらが息子さんのお写真です」

…う

「なにか情報がありましたら、テレビ局まで…」

これは、

「待ってるから…ね」

見たくない。