ユア

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人の顔は見えてるから、目が悪いとかじゃない。 「好きなメニュー頼んでいいからさ」 「…え、これ飲み物?」 「酒好きなの?とりあえず飲みな!」 メニュー表が、なにもわからない。これは文字なのか?俺にはわからない。 「おい、金」 「え」 「困るよ!」 なにが困るのかわからないままATMに移動する。 ATMの暗証番号は、右の三つを上から押して、左に曲がる。 え? 俺にはボタンということしかわからない…。 「ほら…この紙に書いてくれよ」 わからない、わからない!なにを書くの? 数字なの?言葉なの?なんなの? 「適当な字でいいから、ね?」 文字なんてなくなればいいのに。 それとも私がいなくなればいい? …ユアさんの、感情が流れてきた。 「…わかった!」 目の前が明るくなった。どうやら戻ってきたみたいだ。 「うるさ!いきなり大声出すな」 不機嫌な悠星さんがいた。 「あ、戻れました」 「で、なにがわかった?」 「彼女は、文字が読めません」 「ん?」 「それで、なんにもメニューとか読めなくて数字もわかんなくて金取られたみたいです。それで自信無くしちゃって」 「…そうなのか、親父は知らなかった」
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