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「では、質問タイム再開するわよ。誰か、このトカゲ女に聞きたいこがある方?」
「はい」「はい」………
ほとんど全員が手を上げた。ホログラムによって人間の女性の姿に成り済ましていたレプティリアン。そのトカゲ女に騙され続けた金子だけは未だに立ち直れずに床に項垂れている。
「では、まだ一度も質問されてない、あなた、どうぞ」
そうベサメムーチョが視線を向けたのは初老の男性だった。どこか、優しそうな雰囲気を醸し出している。その男性の傍らには、その男性の嫁であろう女性が寄り添っていた。
落ち着いた老夫婦といった感じだろうか、非常に品が良さそうだ。
「真愛と申します。本日は山川君から招待され、京都と福井の県境の山奥からいそいそと来させていただきました。いやぁ~、ベサメムーチョ博士、あなたとお会いできて大変光栄です」
そこへ山川が、すかさずベサメムーチョにこの夫婦を紹介する。
「ムーチョ、昔に話したことのある真愛教授だよ。今は現役から退いているけど、僕がずっと科学の世界でお世話になっている方だよ。で、その隣にいるのが真愛教授の奥さんの静香さん。彼女も物理学者として名を馳せた人だよ」
「そう、はじめまして。ベサメムーチョよ。秀雄を世話してくれて、ありがとうね」
「いえいえ、彼は私たちの息子のような存在でして。私たち夫婦には子供ができなかったもんで、こんな息子がいてくれたらと常々思ってるんです。さあ、自己紹介はこれぐらいにして、この得体の知れない生き物に私達も訊ねさせてもらってもよろしいですかな?」
「どうぞ」
「では、お聞きしますが、先ほどベサメムーチョ博士があなたを4次元に存在する方と仰っておられましたが、あなた方には時間という概念がおありですか?」
それを聞き、レプティリアンが口を動かした。
「先ずは、このアガルタの少女を遠ざけてくれ。気分が優れんから、何も話す気にはなれん」
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