三位一体

1/1
27人が本棚に入れています
本棚に追加
/71ページ

三位一体

 ベサメムーチョが学びの話を続ける。 「もっとも、量子学がもっともっと進めば、この宇宙の奇跡の力が科学的に解明されるわよ。──さあ、話がだいぶんと逸れちゃったけど、ここからはもう少し掘り下げていきましょうか? じゃあ、さっき言った対極性の話をするわね。  善と悪、愛と憎しみ、喜びと悲しみ、綺麗と汚い、高いと低い、右と左…。みなさんも知っているように、この他にも数えきれないくらい、宇宙には対極があります。  最初に述べた善と悪の関係を叙情的(じょじょうてき)にわかりやすく解けば、『善があるから悪が蔓延(はびこ)り、悪があるから善が浸透する』です。どちらか片方が無くなれば、どちらも存在価値を無くします。  ご存知のように、この大宇宙は対極の関係で成り立っています。陰と陽、光と闇、有と無、真実と偽りも、すべての対極は宇宙の(ことわり)。  さて、ここで、その対極性の力の本質はというと、ずばり、愛なのです。  宇宙は、始まりがあると同時に終わりがあります。また、終わりがあると同時に始まりがあります。つまり、宇宙は永遠に存在し続ける無限の力。宇宙自体に意思があり、永遠に存在したい、消滅したくない意思を明確に持っています。イエス・キリストが『建設は崩壊、崩壊は建設』と説いたように、この二極性こそが愛なのよ。  では、なぜ宇宙の本質が愛なのかと申しますと、消滅するときに、自分を守ろうとする自己防衛本能の力、すなわち愛の力が働くからです。そしてまた、宇宙は無から有に転じます。  この、三位一体(さんみいったい)こそが、神の正体なの。あなた方の古代の祖先が言い表したように、神そのものが愛であり力なのよ」
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!