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「は? なにを、おっしゃられて、おられるのかわかりませんわ」
「いいわ、そこまでとぼけるんだったら、今から、あなたにだけ電磁パルスを放とうかしらね?」
「……!」
「覚悟は、よくって?」
「ほんとに、何を言ってるのかわからないわ」
明らかに菅野は動揺している。眉間に皺を寄せ険しい顔を見せている。
「あなたが、部屋に入って来たときから、ちょうど、良い教材が手に入ったと思ってたのよ。じゃあ、いくわよ。──パッ、パッ、パリピ、パリピ、パリピのパルス!」
と、ベサメムーチョが小指をクルクル回しながら、ふざけた呪文を天井へ向けて甲高く唱えた。その刹那、グラマラスボディの菅野の身体かメラメラとゆらぎだす。
「や、やめろ!」
「ダメよ、あなたを見た時から、このタイミングを狙ってたんだから」
そうこうするうちに、菅野の身体があっという間に3メートルほどのレプティリアンの姿に変わりだす。爬虫類のグロテスクな凹凸のある皮膚、緑と黒が混じり合わさった肌色、顔と身体はそのまま大きな人型トカゲだ。獰猛そうな黄色い双眸からは無情さを感じとれる。口からはギザギザした尖った歯が剥き出している。
「おのれー! なぜ、私の正体が、わかった!?」
まわりの学者達は、すこぶるおののき、ラウンジの中が騒然とする。皆が、彼女から距離をとりだす。ドアの方へ逃げようとする人達も見受けられる。
「入ってきたときから、すぐにわかったわよ。あなた達の匂い、すんごい臭いんですもの。それと、こういうこともあろうかと、そのクッションソファーを用意してましたのよ。あなた達は尻尾があるせいで長時間、椅子に座るのが苦手ですものね。なので、真っ先にそのクッションに座ると思ってましたわよ」
「おまえ、嵌めやがったな! 正体を知られたからには、お前ら全員、生かしてはおけん。──まあ良いわ、久しぶりに、ひね肉も悪くない。ちょっと早いがランチタイムを始めようかしら。フッフフ」
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