解かれたホログラム

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「いいわよ、どうぞ」 「どうも。では、さっそく、あなた方はいつ頃から、この地球にいるのですかな?」  ベサメムーチョから了解を得た宇杉が、レプティリアンに問いかけた。 「お前達と同じような頃だ。私たちは恐竜から進化した種族。始祖もおまえ達と同じのはずだ」 「なんと! 神が、太古の昔から、善と悪をお作りになられたというのか!?」  思わず声を出してしまったのは、宗教学者の小野寺だった。 「ふんっ、善とか悪とかはお前達が勝手に使う総称。我々は劣等種族を支配するのみ。お前達の代表はそれを望んだ。支配している者が支配される道を選んだのだ。ただ、それだけのこと。お前ら人間は何かにすがりつかなければ、生きられない弱い種族だと認識している」 「私たちを支配下におき、都合の良いときは食料にする。ならば、なぜそんなにまわりくどいことを? 人間が牛や豚を家畜にするように、大っぴらに支配しようとしないのはなぜだ?」  再び、宇杉が訊ねた。 「お前達は、近海でアジやサバ、イワシが大量に捕れていたとき養殖したのか? それに、お前達は、わざわざそれらを支配しようと思うのか?」 「……しかし、そんなにも人間を補食していたら、世間が騒ぐはず」 「この国で表面化しているだけでも、年間約8万人の行方不明者が出ているはずだが…その内の1000人ぐらいは子どもだ」 「…! 確かにそれぐらいはいてるだろう。ミッシングチルドレンという言葉を聞いたことがある。しかし、なんと、おぞましい。こんなことがあっても良いのか! では、日本政府もそれを黙認しているというのか!?」 「ああ、毎月の手当てまでくれてるぞ。その金で諸国漫遊して、日本の生食文化を楽しんでいる仲間もいるからな」  そのような会話の最中、ドアが開きレイヤとシエラが入ってきた。その後ろからは、下着を持ったアシスタントの夏川が、「ちょっと、あなた達、パンツを穿いてちょうだい!」と、言って彼女達を追いかけている。  レイヤの服装は膝上のスカートにブラウスのような白いシャツ姿。片や、シエラは動きやすい紺色のジャージーを上下に纏っている。が、レプティリアンを見るなり、彼女達が足を止めた。アシスタントの夏川は追いかけるのを止め数歩、後退った。
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