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久しぶりに同窓会やって、それで大学時代の友達と再会してあんたのことを聞いてさ。それでやっと、やっと人にこの話ができたんだ。だから、マジで他の人にこのことは話してない。あの爪は気持ち悪いけどまだそのままにしてある。正直、下手に燃やしたらそれもやばいような気がしてな。
その後、どうしたかって?
爪が入っている引き出しは鍵がかかるタイプじゃなかったんで、ガムテープで目張りして簡単に開けられないようにした。
それから、カップ麺を食べるのも控えたし、昼飯の時間も少しズラした。いつも同じタイミングで記憶が飛ぶんだから、その環境を変えれば対処できるかもしれないと思ったんだよな。
まあ、甘かったわけだけど。
その対処をした結果、俺は昼飯にレトルトカレーを作ろうとして袋を取り出したところで記憶が飛ぶようになったし、目張りしたガムテープはあっさり剥がされるようになった。で、当然俺の手がべたべたになってる、と。
これは推測なんだがな。
誰かが多分、俺の体を特定のタイミングでのみ借りられるようになったんじゃないだろうか。で、そいつは基本的に俺の体の奥底に潜んでいて、俺が気付いてない時間もどこかで俺をコントロールしてるんじゃないか。多分カップ麺が好きで、だから、それを食べるように誘導かけてるんじゃないか。
あの爪はきっと多分、そいつが俺を操り続けるために必要か――もしくは何か、でかいこをとするために俺に集めさせてるってことなんじゃないのか。
なあ、あんた作家なんだよな?こういう怖い話、どこかで聞いたことないか?どうすればここから逃げられるのかとか、そういうのわからないか?
神社とかに駆け込んだ方がいいのかもしれないけど、なんだかすごく嫌な予感がして行けないんだ。それも、俺を操ってるそいつのせいなのか?
今のところ、親指の爪を剥がされた事件とか、そういうの全然ニュースでも見ないんだ。それがかえって不気味なんだよ。
何かもし、わかることがあるなら教えてほしい。できれば、次は電話で。
多分だけど今度俺があんたの前に現れる時は、あんたの爪を剥ぎにきた時じゃないかと思うからさ。
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