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こねこね。
「こねこね」
私は、ボキバキ、と自分の骨が折れて捩じれる音を聞いていた。
「こねこね」
皮膚が千切れる。内臓が破れる。骨が粉々になる。
「こねこね」
彼女が私をこねてのばすたび、私は細長くなっていく。
「でーっきた!」
幼子のようにそう言って、彼女は手を叩き合わせた。
「今日の出来はぁ、んー、80点くらいかな?」
彼女はそう言って、私をフックに吊るした。そして私を天井に吊るす。彼女にこねてのばされて細長くなった人間達が、うごうごと力弱く蠢く。
「た・・・すけ・・・て・・・」
喋れる人も、居るらしい。私は駄目だった。
「ああ、安心して。私の機嫌が良い時に、一人殺してあげるから。まあ先着順だから、それまでは流動食で頑張ろっか! 安心してね、私、料理上手だよっ!」
ああ、私は。
絶対に怒らせてはいけない存在を、怒らせてしまった。
今日も、聞こえる。
彼女の、幼子が粘度で遊ぶような声が。
「こねこね」
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