隕石の衝突

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隕石の衝突

突如現れた隕石が、シンセイタウンに未曾有の混乱をもたらした―。 高校3年生の秋。 俺、千夜保(せんや たもつ)が通う高校でも文化祭を迎えていた。 この日ばかりは外部からも大勢の連中が押し掛ける。 俺のクラスの出し物は、『シンセイタウンの未来をテーマにした劇』だ。 俺のマブダチ鈴木航(すずき わたる)は、秀才で知識豊富な性格から、劇の脚本家や演出を担当している。 鈴木は『シンセイタウンの未来をテーマにした劇』において、物語の展開や台詞、演出などを緻密に考え、俺の彼女、諸橋香澄(もろはし かすみ)達と共に劇をより魅力的なものにするために尽力していた。 一方、香澄は、劇の主要な役柄の一つを演じている。 鈴木のナレーションで、シンセイタウンがどのような未来を描いているのかが語られる。 その内容は、隕石が衝突し、パニックが巻き起こる、というもの。 ったく、隕石なんざ衝突する訳ねーっつーの。 文化祭なんざ、くだらねーと思っている俺は早々にバックれた。 俺は文化祭をサボっている間、屋上で煙草を吸いながら、ひっそりと過ごしていた。 屋上からは、学校の広い校庭や周辺の景色が一望できる。 俺は静かな場所で落ち着いて過ごしたかった。 人がたくさん集まる文化祭の賑やかさから離れ、自分だけの空間で考え事をしたり、ひとりの時間を楽しんだりしていた。
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