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襲いくる惨状
見ると中に居たほとんどの連中が瓦礫の下敷きになっている。
生存は絶望的だった。
「香澄…大丈夫か…?」
「私は平気。千夜くんが庇ってくれたから…」
「鈴木と山村は…?!」
「2人共、怪我は酷くないけど、ショックで気を失っているみたい」
俺達3人の上に乗っていた瓦礫は、香澄が掻き分けてくれたようだった。
「丁度、隣が保健室だわ。千夜くんの怪我が一番酷いから、応急処置しましょう?」
俺は香澄に肩を貸され、立ち上がった。
頭を打ったせいか吐き気がする。
「気持ち悪りい…」
「大丈夫?!」
「あ、ああ…。2人は置いて行くのか?」
「そうね…。じゃあ、救急箱と洗面器だけでも持ってくるわ」
香澄はそう言って、俺を横にしようとするが。
「待て、香澄。単独行動はあぶねー。俺、足手まといかもしれねーが一緒に行こう」
こんな状況だ。
何があるか、わからねー。
「ありがとう、千夜くん」
香澄と2人廊下に出ると、ここもヒデー惨状だった。
「退けっ!」
生き残った奴等が死んだ連中の死体を蹴り飛ばしながら、逃げて行く。
香澄が立ち止まらなければ俺はぶつかっていただろう。
逃げて、どこへ行くってーんだ…。
保健室は比較的、被害が少なかった。
それでも生き残った連中が走って素通りして行くところを見ると、皆、突然のことに、パニックになっている。
だから今のところ、ここに逃げ込んでこようとしている奴等は居ねーようだ。
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