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「千夜くんに諸橋さん?」
その時、ベッドの下から養護教諭の小川先生が這い出てきた。
「良かった…!先生、無事だったんですね!」
香澄が安心したようにそう叫ぶが、小川先生の顔色は冴えねー。
「千夜くん、怪我しているわね。手当てしましょう。諸橋さんは、無事?」
「はい。後、隣の化学室で生き残っているのは、鈴木航くんと卒業生の山村凌先輩だけです…。2人とも気絶していて…でも怪我は酷くないです」
「じゃあ、救急箱持って、そっちへ行くわ。千夜くん、歩ける?」
「香澄…諸橋さんに肩を貸してもらえば大丈夫だ」
「それじゃあ、諸橋さんの負担が増えるわ。諸橋さん、千夜くんをベッドに寝かせたら、鈴木くんと山村くんも連れて来ましょう」
俺は小川先生の指示で香澄にベッドに寝かされた。
そして2人で、まだ騒がしい廊下に出て行く。
と、俺は枕元に置いてある洗面器に嘔吐した。
吐いた事で、少しは気分が悪くなくなったような気がする。
俺は仰向けになると、穴の空いた天井から空を見上げて思った。
まさか本当に、こんな事になるなんてな…。
被害はどこまで拡大しているのかわかんねーが、何人くらい生き残っているんだ…。
親父と田中(たなか)達は無事なのか…?
田中とは、俺の家の極道組織の一員だ。
今朝も校門前まで車で送ってくれたってーのに…。
その時、放送が掛かった。
さっきの衝撃のせいか、いつもよりノイズが酷い。
『ガー!ピー!…教師の…ガー!…です。生き残っている方たちは、体育館まで…ガー!。文化祭は中止…ガー!…プツッ!』
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