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「しばらく歩き難いかもしれないけど、ひとまずこれで様子を見ましょう」
俺の制服をそっと着せた小川先生は次に山村の怪我の手当を手際良く済ませた。
そして、洗面器を手に「諸橋さん、鈴木くん、どう?」と言いながらカーテンの向こうに消えた。
その時、山村が身じろぎした。
「…あれー?ここは、どこー?僕、何していたっけえ??」
「気付いたか、山村。信じられねーかもしれねーが、大惨事が起きた。保健室の外は皆、パニックだ」
山村はしばらくキョトンと俺に顔を向けていたが急にその表情が強張った。
「料理部の皆は?!」
「…わかんねーが、隣の化学室で生き残ったのは香澄の話によると俺達4人だけらしい」
「皆…っ!!」
山村は焦った顔になると、ベッドから起き上がりカーテンを開けて保健室を飛び出した。
「山村くん、どこ行くの?!」
小川先生が呼び止めるが、その時は既に山村の姿は無かった。
その時、大怪我をした女が息も絶え絶えに保健室に入ってくる。
「お願い…助けて…」
小川先生は、困ったように山村が出て行ったドアの辺りと女を見比べている。
俺は怪我が痛まねーように気を付けてベッドから出た。
「小川先生、山村は家庭科室に向かった。俺が追いかける」
「千夜くんも頭打って怪我しているんだから、無理しないでよ!諸橋さん、女性の手当のお手伝いをお願い」
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