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「見いーつけたっ!」
俺は、横になってから、いつの間にか眠っていたらしい。
聞き覚えの有る声に目を開けると、この高校の卒業生、山村凌(やまむら りょう)がニコニコ笑いながら、俺を覗き込んでいた。
「山村…どうして、ここがわかった?」
山村も文化祭の劇を観に行くとは数日前のグループ通話で言ってはいたが、まさか見つかるとは思っていなかった。
「保の好きな所は大体、解るよう!ここなら景色も良いし!保ー、せっかく劇、観に来たのに居ないんだもん!」
「千夜くんは事前から文化祭を嫌がっていましたからね。山村先輩の純粋な目に助けられました」
「私も千夜くんは屋上に居るかもしれないって山村先輩に言われて来たの」
鈴木と香澄の声も聞こえる。
山村から視線をズラすと、鈴木は呆れたように。
香澄は困ったように、俺を見ていた。
「香澄…鈴木…劇はどうした?」
俺はまだ眠気でボーッとしながら寝ぼけて、2人に訊いた。
「大成功で終わりましたよ」
「もう随分前に後片付けも終わったわ」
出し物が劇のクラスは順番に体育館を使うことになっている。
てえことは今頃は別のクラスが使っていることだろう。
「なら、俺がここに居ても何の問題もねーな」
「えー!?保ー、せっかく久しぶりに会えたんだから4人で文化祭巡りしようよう!」
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