襲いくる惨状

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小さな個人商店の前を通り掛かった時だった。 「…助けてくれー…」 中から聞こえてきた、その小せー声に気付いたのは、香澄だけだった。 「何か聞こえない?」 香澄の声に、先を歩いていた俺達も立ち止まり耳を澄ませる。 「…助けてくれー…」 今度は、全員、ハッキリ聞こえた。 だが、そのSOSは、小さ過ぎて危うく聞き逃がすところだった。 「中に入ってみましょう」 鈴木を先頭に4人で中に入るが、商品の類は根こそぎ奪われたのだろう。 無くなっていた。 それよか、助けを求めていた奴の姿も見えねー。 どこにいるんだ? キョロキョロしている俺達の足元から野郎の声が再度、聞こえてきた。 「ここだよ、ここ!誰だか知らないが、床板を持ち上げてくれ。少しだけ色が違うだろう?」 と言われても薄暗い店内じゃあ、床板の色の違いまで解るか! 「これかなぁ?」 山村が床板の1つを持ち上げようとする。 「山村先輩、闇雲にやっても…」 鈴木がそこまで言ったところで、床板は本当に持ち上がった。 「いや〜助かった!暴漢達が入って来て避難したは良いが幾ら押しても床板が上がらないから焦った!…ってその制服君達高校生と私服の子は中学生?」 頭だけ出したドレッドの野郎は、俺達を見回してそう訊いた。 「ぶー!ぶー!僕が1番歳上だい!」 「これは失敬!」 ドレッドの野郎は、山村に向かい両手を合わせた。
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