思わぬ拠点と調査

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「俺は…っ!俺だけは死にたくない…っ!!」 混乱した野郎が香澄に向かって殴り掛かってきたのだ。 「キャアッ?!」 「香澄っ!!」 怪我してなけりゃー野郎をボコボコにしてやるところだが、今の俺は香澄を庇うのが精一杯だ。 「千夜くん!諸橋さん!」 「保ーっ!香澄ちゃんっ!」 鈴木と山村が叫び声を上げる中、俺は香澄を咄嗟に背に庇い、野郎の攻撃をガードしようとした。 「ぐはあっ?!」 悲鳴を上げたのは、俺でも香澄でもなかった。 ドサッ!と音を立てて、香澄を殴ろうとしていた野郎が地面に倒れる。 「いくらパニックに陥っているからって、女の子に手を上げるのは、感心しないな」 博士が一気に間合いを詰めたかと思うと、野郎の鳩尾にパンチを放ったのだった。 それを視認出来たのは俺だけだった。 「えっ…?」 「あれー?男の人、倒れちゃったー」 「動かないですね。頭でも打ったのでしょうか」 皆、不思議がっているが、俺は博士が野郎を殴った瞬間、只ならねーモンを感じていた。 「博士、あんたは一体…?」 「千夜くん、君も只の高校生じゃないでしょ?」 博士は俺に耳打ちすると、何事も無かったかの様に歩き出した。 「千夜くん、私を守ろうとしてくれて、ありがとう」 後ろを振り返ると香澄が恥じらうように笑顔を見せていた。
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