思わぬ拠点と調査

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と、今川先生は、途端にその場でガバッ!と土下座した。 「済まん!まさかこんな事になるとは思わなかったんだ!只、今回部員達にやらせた実験で、俺の権力を誇示したかっただけで…!」 今川先生の話によると、あの実験(俺と山村は見ていなかったが)が成功していた場合。 皆が先生を賞賛し、化学教師として尊敬される位の結果を残せたらしい。 それこそノーベル物理学賞が獲れる位の。 だが、俺には詳しい内容は難し過ぎてサッパリわからなかった。 只、そんなに大層な実験を部員達任せにするかとは思ったが。 「じゃあ、料理部の皆が死んだのは先生のせいじゃないかあー!!」 山村が怒って土下座したままの今川先生をポカポカ殴る。 今川先生も罪悪感を感じているのか、されるがままだ。 「山村先輩…」 鈴木がそっと、そんな山村の肩に手を掛けた。 「悔しいよう…っ!悔しいよう…っ!!」 思い出したのか再び泣き出した山村。 鈴木がしゃがんで山村と同じ高さになってやると山村は鈴木の胸で大泣きした。 鈴木も涙を流している。 「山村先輩…」 見ると香澄も涙ぐんでいる。 「香澄…」 俺が香澄の頭を肩に引き寄せると、香澄は俺に抱きついて啜り泣いた。 この場にいた全員が悲しみに打ちひしがれていた。
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