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「保に、お昼ごはん食べながら劇の結末を話してあげるんだー」
山村は先頭を切って屋上から出ながら要らねー世話を言った。
だが、打ち合わせの時からサボっていた俺は劇の結末までは、香澄からも鈴木からも聞いてねー。
「まさか本番までずっと千夜くんがボイコットするとは僕も諸橋さんも思っていなかったですからね」
「ちなみに俺の役割は何だったんだ?」
「隕石を降らす宇宙人役よ。でも練習中に鈴木くんが台本を書き直したの」
「そりゃ…香澄達、特に鈴木には悪い事したな」
「そう思うのでしたら、学園行事にはきちんと出て頂かないと困ります」
階段を降りながら鈴木が不機嫌そうに俺に向かって言う。
「ったってなぁ。その学園行事が、かったるくってよ」
「そんなこと言っていると一緒に卒業出来なくなっちゃうわよ?」
俺の直ぐ隣を歩く香澄は悲しそうな面して俺を見上げた。
「大丈夫だ。香澄を悲しませるような真似はしねえよ」
校舎内に入ると、途端に人が廊下に溢れかえった。
俺は直ぐ前を歩く鈴木と山村の後ろ姿を見ながら香澄と、どちらからともなく手を繋いだ。
その方が逸れる心配がねーからな。
人混みを縫うようにして4人で家庭科室を目指した。
家庭科室の前まで来ると、『文化祭用メニュー』とチョークで書かれた小せー黒板が目に入った。
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