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鈴木がメガネのツルを上げながら険しい表情で言う。
「それに劇は楽しい内容が一番です」
隕石衝突が楽しい内容かは甚だ疑問だが、鈴木の山村に対する庇護欲の前に、俺は黙っていた。
「さっ!食事も済んだし、次の場所へ行きましょう?!」
俺達野郎3人の雰囲気の悪さを払拭するように香澄が慌てた様子で言った。
「悪かったな、山村。鈴木と香澄も」
「保ー♡」
「いえ、僕も脚本家としては、まだまだ素人ですから…」
「良かった…」
険悪なムードが消えた事に、香澄は安心したようにホッと息をついた。
出入り口付近で山村が再び後輩たちに声を掛ける。
「じゃあ、皆ー!頑張ってねー!料理は楽しく!だよう!」
「先輩も頑張ってください!」
「又、会いましょう!」
後輩たちも口々に別れの声を掛けた。
「山村先輩は後輩の皆さんから実に慕われていますね。僕は人付き合いが苦手だから正直、羨ましい限りです」
再び廊下に出たところで鈴木が羨望の眼差しで山村を褒めた。
「ありがとー、鈴木くん」
山村も嬉しそうだ。
山村は在学中からダチは多かったが、人徳の為せる業だろうな。
鈴木もそのルックスと性格から隠れファンは多いが本人はどう反応して良いのか、頭が良いクセにわかんねーらしい。
俺は…香澄達3人にだけ好かれてりゃ良いや。
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