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170と169.5。
その間にはたった5ミリとは言えない格差が存在する。身長マウントの山脈がそびえ立っているのである。
「いや、誤差だろそのくらい」
出席番号が俺の次の広石が言ってくれた。
こいつはクラスで一番背が高い。183センチもあれば5ミリくらいそりゃ誤差の範囲だろうけどさ。
とりあえず、最笑ちゃんにこの事実を知られてはいけない。想像しただけでも恐ろしい。
「羨ましいいいいいい」
耳をつんざく呪いの叫びと、巻き起こる無残なジェノサイド。それはバッドだ口にチャックだ。
「体重、60.5キロ」
まあそんなもんだろ。
しかし。
「103.9センチ」
いやちょっと待て。そんな馬鹿な。
なんと無惨なほんとにそんな?
「プッ」
聞こえたぞ広石。
今度は誤差の範囲だと言ってはくれないのか?人の不幸を笑いやがって。
この想いをどこにぶつければいいのだろう。
座高が伸びた。
3センチも。
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