シャルロッテ様の憂鬱

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「だから気の済むまで話し合うと良いわ。」 皇后はふたりを見て笑った。 「ロッテ、母のサンルームを案内して差し上げなさい。」 とシャルロッテに指示した。 「…はい。」 彼女は立ち上がると 「こっちだ…」 マリウスを案内した。 皇后の執務室から続いているサンルームのガラス扉を開けると、色とりどりの薔薇が咲いて いた。 「うぉ…、すげ」 「母上がお気に入りの薔薇だけを置いてある…」 と説明はしてくれるものの、相変わらずマリウスに背を向けうつ向くシャルロッテ。 「…姫様」 マリウスが呼びかけると、身体をピクッと震わせる。 「触れても、よろしいですか?」 とマリウスの問いに、暫し戸惑うと 「…手なら」 右手を差し出した。 彼は優しくその手を取ると、自分の左胸に当てた。 「な?…何?」 と狼狽えるシャルロッテは自分の掴まれた右手とマリウスを見る。
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