シャルロッテ様の憂鬱

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 「ロッテ様、15:00 より第一会議室にて会議がございます。そろそろご移動お願い致します。」 部下で秘書のクララ=フルトヴェングラー が予定を告げる。 「うむ。わかった。」  ロイヤルブルーの絨毯の上を歩を進めていると、脇の廊下からいきなり人が出てくる。 (!!ぶつか…) 「うお!?」 と声が聞こえたかと思うと、その人物が持っていたであろうファイルや資料がバサバサと音を立てて落ちた。 「お怪我は無いですか?すみません。考え事をしておりました、」 そう詫びる声の主に顔を向けると 宵闇を流した様な黒髪。 細い銀縁眼鏡の下には 小さい頃訪れた事のあるパラオの海の様なエメラルドグリーンの瞳。 冷徹な性格を表したような涼しげな奥二重の目。 すっと伸びた鼻梁に、少しカサついた薄くて大きめのライトコーラルの唇。 「…!?」 シャルロッテの鼓動がドクンと大きく高鳴る。
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