シャルロッテ様の憂鬱

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「貴様!無礼者!!早くロッテ様から手を離さんか!」 クララが怒鳴ると 「怖いお人だな。今、手を離したら皇女様が地べたに転がるだろ」 と彼の低い少し鼻にかかった声が耳をくすぐる。 気が付くと彼の左腕が、シャルロッテの腰に回して彼女を支えていた。 彼はシャルロッテに向き直ると 「大丈夫ですか?立てますか?」 と優しく聞いた。 「あ、ああ。すまない、私もよく見ていなかった、」 「いえ、大丈夫です。PCは死守しましたので」 と笑って右手に持っているノートPCを見せた。 彼はシャルロッテが自分で立つのを確認すると、落ちた資料を拾い始める。 シャルロッテが拾おうとすると 「ああ、お気になさらず。秘書のお方がお待ちですから」 とクララを手で指した。 「ロッテ様参りますよ!」 クララに言われ、シャルロッテはその場を去るしかなかった。
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