シャルロッテ様の憂鬱

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「…テ、ロッテ」 兄ヴィルヘルムの呼び掛けに、現実に戻されるシャルロッテ。 「会議はもう終わったが」 周りを見ると彼女以外立ち上がり、出口に向かう人々。 その中に頭ひとつ分低い彼を見つける。 ガタリと席を立ち 「マリウス=シュタウフェンベルク中尉!」 と彼を呼び止めた。 気付いた彼は振り向き 「お呼びでしょうか第二皇女様」 と返事をすると彼女は些かムッ、とし 「私にはシャルロッテという、ちゃんとした名があるのだが」 と口から出た。 (私はまたっ…、どうして可愛くない物言いをしてしまうのか) 無表情を取り繕いつつ、自己嫌悪に陥る。 「…自分の様な者が姫様の御尊名を呼ぶ等、不敬に当たるかと。失礼致しました。シャル ロッテ様。」 マリウスはそう告げると深々とお辞儀をした。 (姫様って、久々に呼ばれた♡今、シャルロッテって私の事呼んでくれの?)
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