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廻国修行を続けるマヒワたちは、逗留先でいちばん盛んな武術を尋ねるようにした。
しかし、他流の剣術にしろ、他の武術にしろ、体よく断られることが大半だった。
修練場に招かれたとしても、お互い型の演武を見せ合うだけで終わることが多い。
――もっと人が多くて、武術界でも競争の激しそうなところなら、相手をしてくれるかもしれない。
つぎのロウライの街は、内陸からと海洋からとの交易路が交わる要衝で、国内屈指の経済都市だ。
行き交う隊商の数も多いから、その護衛のために滞在している武術家も多い。
――きっと、見たこともないような、すごい技を持った武術家もいるはず。
と期待で胸を膨らませ、ロウライの街に入った。
ロウライの中心を、港から王都を結ぶ街道が貫いている。
その先は白沙通商連合に加入している都市国家のひとつ、タカワンにつながっていた。
ロウライは羅秦国の重要な交易地点の一つで、周辺の山林から良質の紙が生産される。
ロウライ産の紙は、水に濡れても破れないことから商人の顧客名簿や公的な書類などで重宝され、年間を通じて取引量が多かった。
それ以外の商品も目当てにして、ロウライの街中を多くの隊商が往き来していた。
その日は朝から天気が良く、陽が当たるところでは肌が焼かれるような暑さだった。
マヒワとバンは交易路となっている街道を歩いていた。
道中、多くの隊商とすれちがった。どの隊商も規模が大きい。
バンはさりげなく隊商を率いている人物や積み荷に目を配っていた。
ロウライの都市城郭の西門に近いあたりに、今回の宿屋があった。
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