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マヒワたちが棒術の修練場に着いた頃には、昼過ぎになっていた。
土木作業をしている人たちが、からだを休めるため、日陰で昼寝をしていた。
どの街でも同じような風景であるが、このロウライも、外壁にある楼門の外側には広場があって、近郊の街を結ぶ駅馬車の駅舎が建っていた。
しかし、ロウライのこの広場は、マヒワがいままで通過してきた街と比べて遙かに広かった。
それもそのはず――、
羅秦国の北西方面に有事があれば、この広場に軍団が集結する野営地になるからだった。
この広大な敷地の一角を柵で囲み、千刻流棒術の修練場があった。
修練場では、十人ほどの門弟が、棒術の型を稽古や、藁を束ねて作った標的に打突を繰り返している。
マヒワを案内していた師範代理が手をたたくと、門弟たちは動作を止めて、きびきびとした動作で集まってきた。
五人が二列になった横並びが整列の基本形のようだ。
「本日、王都から稽古の見学にこられた、剣術家のマヒワさんだ」
師範代の紹介で、門弟たちの視線がマヒワに集まる。
「御光流剣術のマヒワです」
といって、視線を下げずに軽くお辞儀をする。
「おおっ!」
「ちなみに、マガン元帥のお弟子さんだ」
という師範代の補足に、みんなのどよめきがさらに増して、なかなか収まらない。
このどよめきは、武術界での、御光流の知名度の高さを反映したものであるのか、元帥であったマガンの人気からなのかわからないが、もっとわからないのは、門弟たちの瞳の輝きである。
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