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 マヒワは知らぬうちにガラムの話に引き込まれていく。 「元帥の剣術っちゅうのは、まったく人を斬る技術ではありませんでしたなぁ。それよりも、身に危険が迫ったら、傍に仕えていたお弟子さんでしょうな、彼がみんな退けておられた。いやぁ、あの方は強かった」  マヒワはマガンの剣術についてもっと聞きたがったが、弟子の話にも何か引っかかるものがあった。 「あの方、とは、お弟子さんの方ですか?」 「そうです。とても美しい流れるような動きをされる、すばらしい剣の遣い手でしたなぁ。襲いかかってくる敵の方が剣に吸い込まれていくような感じで、よくある斬り合いとは別の次元でした」  それは剣聖の身のこなしだ、とマヒワは気づいた。  マヒワが剣聖と認められたとき、ここ最近で剣聖と称されていたのは、マガン自身とマガンの弟、他流の剣術家に三人、それにマヒワの父イカルだ、とマガンが語っていた。  こうみると沢山いるようだが、戦乱がつい最近まで続いていたので、剣術の修行者などは国中に百万人という単位でいただろう。そのような中で剣聖と称されるのであれば、やはり頂点に立つ者たちであるといってよい。 「その剣士の方は、柄の握りの部分に紅い宝石の付いた剣を遣っていませんでしたか?」 「いや、その剣を持っていたのは、マガン元帥でしたなぁ」  マヒワは、剣聖と思える動きとマガンの近くにいたことから、自分の実の父であるイカルではないかと思って訊いてみたが、期待はずれの返事が返ってきた。 「そうですか。元帥の……」  マヒワの声がつぶやくようになる一方で、ガラムの思い出話はますます盛り上がっていく。
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