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ガラムは一席設けましょう、と誘ってくれたものの、今夜はバンの報告を聞くことになっていたので、懇ろに断った。
帰り際、ガラムはふと思い立ったように、
「いずれ、わしの不肖の弟子と仕合されることがあるでしょう。そのときのご参考のために、棒術の型をご覧に入れましょう」
と言った。
ガラム自らが棒をとって、ひとりで行う型を見せたあと、師範代を相手にして二人で行う型をマヒワに披露した。
「なによりのご馳走、ありがたく頂戴しました」
マヒワはガラムの気遣いに感じ入ると同時に、どこまでも弟子を思い遣る師のあり方を学んだ。
ガラムとしては、自分の至らぬ部分をマヒワに託す、という想いがあったに違いない。
マヒワは、そのようなことを考えながら帰り路を急いでいたが、急にあることに気づいた。
――いけない! 師範代のお名前を一度も伺ってなかった……。
そう思ったのも一瞬で、「夕食までにもどらねば」と、マヒワは宿屋に向かって足を速めた。
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