21/31
前へ
/220ページ
次へ
「カチェ、ただいま。よくがんばったね」  ライラが、カチェと呼んだ女の子に抱きつかれたので、頭をなでた。  つづいて建屋の中から男の子が二人でてきた。  二人は、マヒワに気づくと、お辞儀をして、アッシュとウルマと名乗った。  カチェがいちばん幼いようだ。  誰もが不安な一夜を過ごしたようで、興奮気味にライラに一夜の出来事を報告しはじめた。  ライラに話しかけながらも、みんなの視線はマヒワのほうを向いている。  特にアッシュとウルマの男子二人は、マヒワに直接話しかけるのが恥ずかしい様子だ。  ライラをお兄ちゃんたちにとられたカチェが、小さい足で駆けてきて、マヒワを見上げると、 「おはよーございまちゅ」  と元気な挨拶をしてきた。  ――人見知りをしない子だ。  ライラと一緒に帰ってきたので、怪しい人ではないと判断したのかもしれない。  マヒワも、カチェの視線までしゃがんで、挨拶をする。 「カチェちゃん、あたし、マヒワ。よろしくね」  ――どうよ、ちゃんと自己紹介できたわ! 「マヒワおねぇちゃん。おおきいおねぇちゃん」  仲間が増えたことを、純粋によろこんでいるらしく、マヒワのまわりをぴょんぴょんと跳んでいる。 「あはは、カチェちゃんは元気ね」  ――正直言って、この展開の読めない調子について行くのは、……つらい。 「マヒワさんは、わたしのししょーだよ」  ライラは、そういって、みんなにマヒワを紹介した。 「ししょーってなに?」 「せんせぇよりえらい?」 「なにか、あたらしいことおしえてくれるの?」
/220ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加