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「カチェ、ただいま。よくがんばったね」
ライラが、カチェと呼んだ女の子に抱きつかれたので、頭をなでた。
つづいて建屋の中から男の子が二人でてきた。
二人は、マヒワに気づくと、お辞儀をして、アッシュとウルマと名乗った。
カチェがいちばん幼いようだ。
誰もが不安な一夜を過ごしたようで、興奮気味にライラに一夜の出来事を報告しはじめた。
ライラに話しかけながらも、みんなの視線はマヒワのほうを向いている。
特にアッシュとウルマの男子二人は、マヒワに直接話しかけるのが恥ずかしい様子だ。
ライラをお兄ちゃんたちにとられたカチェが、小さい足で駆けてきて、マヒワを見上げると、
「おはよーございまちゅ」
と元気な挨拶をしてきた。
――人見知りをしない子だ。
ライラと一緒に帰ってきたので、怪しい人ではないと判断したのかもしれない。
マヒワも、カチェの視線までしゃがんで、挨拶をする。
「カチェちゃん、あたし、マヒワ。よろしくね」
――どうよ、ちゃんと自己紹介できたわ!
「マヒワおねぇちゃん。おおきいおねぇちゃん」
仲間が増えたことを、純粋によろこんでいるらしく、マヒワのまわりをぴょんぴょんと跳んでいる。
「あはは、カチェちゃんは元気ね」
――正直言って、この展開の読めない調子について行くのは、……つらい。
「マヒワさんは、わたしのししょーだよ」
ライラは、そういって、みんなにマヒワを紹介した。
「ししょーってなに?」
「せんせぇよりえらい?」
「なにか、あたらしいことおしえてくれるの?」
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