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 姿どころか気配の全くないバンの配下を、すごい技量をもった人たちだと思う。  ――そういえば、都市城郭の門には、棒術のお弟子さんたちがお役目についていたし、商会について何か知ってるかも。  門衛には、一緒に稽古したよしみで、定刻前だったが城門を特別に開けてもらっていたのだ。  昨夜の報告で、薬包紙の動きがおかしいとスイリンがいっていたのを思い出し、その件についても何か掴んでいるかもしれないと考えた。  ――あとは、砦か。  砦に侵入するとした場合、何が必要かを想像した。  ――遠距離用の弓矢があったほうがいいかな?  マヒワが普段使っているのは短弓だから、長弓はどこかで調達する必要がある。  ――まてよ、ここにあるかもしれない……。  菜園に柵がしてあるということは、害獣が出るということで、ならば、弓矢もある可能性が高い。 「ライラちゃーん、ここに弓矢はあるのかな?」  と、ライラに聞いてみると、弓矢はあるという、あっさりした回答。  弓矢で害獣を退治するのは、先生の仕事だったらしい。  ライラの指さすところを見ると、勝手口のそばに、子どもたちには手の届かない高さに弓が掛けてあった。  矢も揃えてある。  本格的な長弓ではないが、マヒワの持っている短弓よりは遠距離を狙える。  矢に手を加えれば、もう少し飛距離が伸びそうだ。  とはいえ、矢の本数が少ないので、何とか手に入れたい。  ――やっぱり、今日の明るいうちに街に行こう。  さいわい子どもたちは、菜園で水やりしたり、雑草を抜いたり、収穫したりと、自分たちの仕事をはじめている。
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