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――ここの子どもたちは、本当にえらい。それはさておき、ここの先生は、剣術家でありながら、子どもたちに剣術を教えている様子がないわね。
身体感覚を養うという観点で修行を始めるならば、ライラくらいの年齢が限界だ。
この年齢で鍛錬を始めないと、上手にはなっても、衆に抜きん出ることはないといわれている。
それを知っているならば、この孤児院では教育方針として、剣術を教えないのかも知れなかった。
井戸で水くみをはじめたライラに、マヒワはいちど街に戻ることを告げた。
ライラがとても不安げにしているので、理由を聞いてみると、昨日、師匠を探すため、ライラは歩いて街に出てきたらしい。
子どもの足だから、朝のうちに出発したものの、街に着いたのは夕方近くになったという。
だから、料理屋の前でライラをはじめて見かけたのは、夕暮れ時だったわけだ。
「ししょーも、今晩帰ってこないの?」
「いいえ、テンに乗っていくから、街まではあっという間よ。日が暮れないうちに帰ってくるつもり」
というと、ライラは少し安心したようだった。
それでも、マヒワがテンに乗って孤児院をでるとき、ライラはいつまでも手を振って見送っていた。
――当然、あの年齢で幼いきょうだいたちをみるのは心細いわよね。そこを何とかしようとするのは、責任感が強いということ。行動力もあるし、とてもいい子だわ。
――用事をさっさと終わらせて、少しでもはやく帰ってあげよう。
テンは持久力のある馬だが、それでもこの距離の往復はきついはずだ。
バテないように馬脚に緩急をつけながら、テンを駆けさせる。
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