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――あたし、いま、何やってんだろう……?
テンに乗っていると、そんな思いが頭に浮かんでは消える。
とても廻国修行中とは思えない。
とはいえ、子どもたちを放ってもおけない。
――何か、気になる。
バンの消えたことと、ライラのお兄さんたちが連れ去られたこと。
――おじさん、薬包紙。
――お兄さんたち、菜園、薬草……。……。
「くすり!」
連れ去られたライラのお兄さんたちが薬をつくり、できた薬を薬包紙で包む。
――どうみても、砦があやしい。
「いかん、いかん。はやるな、あたし。まずは、裏付けがないと――」
と逸る気持ちで暴走しないよう、マヒワは自分を戒めた。
ロウライの都市城郭の内に入ると、マヒワはさっそく門衛のところへ向かった。
当直の門衛は、門を出入りする人々や荷物を改めるのに忙しそうにしていたので、詰め所を覗いてみた。
予想通り、知った顔の棒術の弟子がいた。
相手もマヒワの顔を認めて驚いた。
寛いで他愛の無い話に盛り上がっていた休憩中の連中までもが、あたふたとマヒワの元に駆け寄ってきた。
あっという間にマヒワは棒術の弟子たちに取り囲まれた。
すごい勢いに、マヒワは少し引き気味になる。
「いかがなさいました、マヒワ様」
いちばん年上と思える弟子が代表していった。
「いやぁ、ちょっと聞きたいことがあって、参りました」
「どのようなことでしょう! なんなりとおっしゃってください!」
と、弟子たちは何も聞かないうちから、全面協力の姿勢を見せる。
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