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 マヒワの胸に抱かれて、カチェの緊張が緩んだのだろう。  ――これは困った。 「ああーっ! カチェが赤ちゃんになってる~!」  アッシュにからかわれたカチェは、恥ずかしそうにマヒワの胸に顔をうずめた。  ――ごめんね、カチェ。あたしのおっぱいは、おちち、でません……。  自分も同じ年ごろだったときには、母のお乳をねだっていたことを思い出しながら、マヒワの指が母の形見の帯鉤(バックル)をそっと撫でた。  すると――、  あの夜の記憶が鮮明に甦ってきた。
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