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 お泊まりとお出かけという言葉に反応し、みんなはしゃぎだした。  ――第一関門は突破ね!  先生が帰ってくるかもしれないから待っている、と言われたらどうしようかと心配していたが、そこは杞憂に終わった。 「お泊まりって、どこに泊まるの?」 「何日くらい?」  と結構現実的な質問を返したのは、ライラとアッシュだ。  さすが年長というべきか。  カチェもはしゃいでいるが、みんなが楽しそうだから楽しいに違いない、というのりだ。 「あたしの泊まっていた宿屋に泊まります。何日お泊まりするかは、先生が帰ってくるまでなので、わかりませーん」  と、我ながらいい加減な答えだと思ったが、しょうがない。 「毎日、お野菜にお水をあげているけど、どうしよう……」  ウルマがぼそりといった。  偉いぞウルマくん。あたしは全くその点を考えていなかった。  ということは口に出さず、 「いい点に気づいたね。ウルマくんなら、どうしたらいいと思う?」  と師匠の威厳をみせて言ってみたものの、マヒワも必死で考えてみる。  ――いかん! 鍛えすぎて、脳みそまで筋肉になったか! 「んーと。ししょーも一緒にお泊まりするの?」  と、ライラも考えをまとめようとして、マヒワに聞いた。 「あたしも、一緒にいるよ。でも、お出かけするときもあるし、そのあいだ、みんなは宿屋のお手伝いとかして、待っててほしいの」  とマヒワはいって、みんなの反応を見た。 「はい、師匠、思いつきました」  と手を小さく上げてウルマが言った。 「はい、ウルマくん!」 「みんなでお世話になるのだから、お野菜は採って、お土産にするといいと思います」
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