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「そうしたら、同じことを聞いてきた人がいるという情報を得ました」
と別の弟子が付け加えた。
「マガン元帥のところの者で、バンと名乗っていたようであります」
――あ、おじさんだ……。
「それで、そのバンというお方は、何を聞き出そうとされたのだ?」
「薬包紙を仕入れていた商会と、直近に出入りした時期などを聞いていたようです」
と、これはまた別の弟子の報告。
――ひょっとして、お弟子さんたち、全員で調べに行ってくれたのでは……。
ガラムのほうを窺うと、あきれ顔で、「お前たち、持ち場を空けなかっただろうな」と、マヒワと同じ疑問を投げかけた。
「当然であります!」
弟子たちは、それ以上問い詰めようのないくらい、きっぱりと言い切った。
「――それで、どこの商会か、わかったのでしょうか?」
マヒワが質問して、話を元に戻す。
「紗陀国に拠点を置く、ロダ商会のようです」
「確か……隣の都市国家タカワンにも商館があったな」
ガラムが記憶を探る。
「その商館に行く途中で砦に入っているのではないかということです」
「最近では、いつごろ隊商が出入りしたんですか?」
「記録によると、四日前です」
――おじさんが情報収集に行くって、出かけた日ね。剣聖先生がいなくなったのも同じかな? いや、先生はもう一日前か……。
「バンが伺ったのは、その記録の日より前になりますか?」
「同じ日だと思われます。ただ記録のつけられた時刻より前だったようです」
――もし、道中で待ち伏せしていたのなら、その商隊に紛れ込んだのかも。
マヒワは頷くと、ガラムの方に向き直って言った。
「師範、魔香ってご存じですか?」
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