十一

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「ですから、あたしが潜入して、捕らえられた人たちがいたら確保します。できれば、魔香を製造している証拠も掴んできます」 「それこまではよいが、どうやって砦から抜け出るおつもりかな? いまの作戦なら帰りには人か物が増えとるじゃろ」 「うーん」  と考え込むマヒワに、あきれ顔のガラム。  マヒワの思考は、朝方にスイリンと砦を下見しているときから進展していない。  潜入する自信はあっても、脱出するときの想定ができなかった。 「脱出方法は、その時そのときの臨機応変で対応すればよいかもしれんが、ちょっとでも楽に抜け出せる状況をつくっておくのが戦略じゃ」  ガラムが助け船を出す。 「状況を整理すると――丘の上の砦に、その裾野に広がる雑木林。あとは野っ原かの。それで、使える者はマヒワさんのところの諜報部隊の連中と、あいつの率いる軍隊」 「それで、砦の中には何人いるかわからず、見張り台には必ず人がいます」 「まぁ、あの砦の規模なら、なかに何人おっても、いま言った頭数を集めれば足りるじゃろ。別に攻め落とす訳でなく、マヒワさんの動きを助けるだけだからの。――騒ぎを起こすだけでよい」 「じゃぁ、砦の中の人たちを燻りだしましょう」 「文字通りかな?」 「ええ、もじどおりです」  ガラムは興味をそそられたようで、腰を落ち着けたまま、マヒワの言葉に耳を傾ける姿勢をみせた。  マヒワが自分の思いついたことを話し始めた。  いつの間にか弟子たちも加わって、作戦会議が始まった。
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