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マヒワの入ってきた門の付近は、砦の者たちと軍との攻防の真っ最中だったので、反対の門の方角にも廻ってみたが、同じような状態だった。
マヒワが戦闘の中に割って入って軍隊を引き入れられる状況になかった。
仕方なくマヒワは、バンから聞いた、「反対側」の建物を先に調べることにした。
――おそらく、先ほどの向かい側の建物ね。
意思を決めたら、マヒワの行動は早い。
ちょうど軍隊が門を激しく攻撃しており、砦の連中の注意がそちらに集中しているのも幸いしている。
隠れては進むことを繰り返し、砦の連中に気づかれることなく、もう一方の建物にたどり着いた。
対の建物だから同じ構造になっていると見当をつけ、裏の方に回り込んだ。
建物の裏には、木箱が二階の窓際の高さまで積まれていた。
その手前に扉があった。しかも鍵がかかっていない。
マヒワは、扉を少しだけ開けて、人の気配のないことを確かめると、忍び込んだ。
建屋のなかには灯りがあったが、外よりは暗いので、その場で動かず、目が慣れるまでじっとしていた。
待つほどもなく、なかの様子がわかってきた。
こちらの建物には、柱だけがあって、間仕切りがなかった。
だだっ広い空間が広がっている。
床の上には積み上げられた木箱と馬の繋いでいない二両の荷馬車があった。
外からは三階建てに見えた建物も、内側から見れば中央部分が吹き抜けになっている。
天井から滑車と綱が垂れ下がっており、木箱がひとつ、空中に吊り下げられていた。
積み下ろし作業の途中だったのだろう。
マヒワは同じような地下に続く間仕切りがないか、調べて廻った。
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