十二

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 もういちど口の中に残っているものを飲み下した。  ようやく手が外され、息ができるようになった。  ――ああ……魔香を……飲んじゃった。  目尻に涙が滲む。  ――ごめんね、みんな……。  ――あたし……しくじったみたい……。  薄れていく意識のなかで、スイリンの顔が浮かんできた。  ――でもね……おじさんは無事だよ……。  ……。  しだいに意識が遠くなり、ちからが抜けていった。
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