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マヒワは眉間にしわを寄せ、記憶をたどっているようだった。
マヒワが急に四つん這いになった。
額を地面に付けて、唸り声をあげる。
――えーっと、何かを思い出そうとしていらっしゃるのかしら?
いままでにも、マヒワの意味不明な行動はよく目にしているので、マヒワが壊れたとは思わなかったが、手を貸してよいものかどうか、はらはらして見ていた。
そのとき、建物の裏口の木戸が開いた。
――!
スイリンの反応は早い。
マヒワを背にかばうと、短刀を左手に逆手に構え、右手には目潰し粉の入った袋を握っていた。
マヒワも地面を転がって、何とか片膝をついた姿勢で構えをとった。
武器を探したら、マヒワの木刀と荷物が先ほど倒れていた場所に置いてあった。
慌てて、木刀を引き寄せる。
扉からは仮面を被った男が顔を覗かせた。
男は、スイリンを見て驚いたようだが、その後ろのマヒワを見て、
「あっ! 意識が戻ったようですね」
と言った。
スイリンはなおも警戒していたが、相手から殺気が感じられないので、判断に迷った。
仮面の男は木戸から出て姿をさらすと、スイリンにお辞儀をした。
すると、もう一人の仮面の男が、同じように出てきた。
――え? 二人いたの?
とスイリンもマヒワも驚いた。
「お水、飲まれました?」
もう一人の仮面がスイリンに問いかける。
スイリンは思わず頷いた。
それくらい敵意が感じられない。
「それなら、もう大丈夫ですね」
仮面の男たちは、道で倒れている人を助けるような所作で、二人に近づいてきた。
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