十三

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 仮面を見て脅えていたマヒワも、いまのやりとりを聞いている内に警戒心が緩んだ。  ――んじゃ、だれ? この人たち?  マヒワは混乱している。  ――あたしを殺そうとしたんじゃ、なかったの? 「ちょっと、あななたち! あたしに、無理矢理、魔香を飲ませたでしょ!」  といって、マヒワは仮面の二人を睨み付ける。 「いえ、違いますよ! それは、誤解です! 魔香なんか直接飲んだら、廃人です。いや、死んじゃうかな?」  と最初に出てきた仮面が言った。 「僕たちが飲ませたのは、魔香の解毒剤です」  と、これは後から出てきた仮面。 「……ん? ……んんーっ?」  マヒワは混乱している。  スイリンは、仮面たちとマヒワとのやりとりを聞いて、仮面は嘘を言っていないと思った。 「それはそうと、あなたたち、面を取りなさい」  とスイリンは、攻撃の構えを崩さずに指示する。 「これは、失礼しました」  といって、二人とも素直に仮面を取った。  仮面の下から、少年の顔があらわれる。  ――おや? 礼儀正しい少年? ふたり? 解毒剤……? くすり? 「あーっ! ひょっとして、ライラちゃんのお兄ちゃんたち?」 「ええ、そうです。ライラをご存じでしたか」 「そう。ライラちゃんに頼まれて、先生とお兄ちゃんたちを探しに……」  ――ごめんなさい。あなたたちのことは、ちょっとあと回しになってました。本当は……。  と心の中でつぶやいたところで、記憶の戻ったマヒワの目が大きく見開かれた。  口を大きく開けたまま、慌てすぎて、つぎの言葉がなかなか声にならない。
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