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「スイリンさん! おじさんが見つかったの! 早く! 早く、助けに行かないと!」
記憶のつながったマヒワが、大慌てで、スイリンの肩を掴んで揺すった。
「えっ、父が見つかりましたか?」
マヒワに激しく揺すられながら、スイリンは何とか声を出した。
「向こうの建物の地下で見つけたのはいいけど、おじさんの怪我がひどいから、誰か呼んでこようと思って――早く行かなきゃ!」
「じゃあ、この建物の中を通って……」
しかし、スイリンの言葉は少年たちに遮られた。
「それはだめです。この中でいま、作業員の方たちが集められています。おそらく全員殺すつもりだ、と先生が言ってました」
「その、先生は?」
「一人で残って、様子を窺っていらっしゃいます。機会をみて割って入るとおっしゃってました」
「それで、ぼくたちが助けを呼びに出てきたんです。軍が助けに来てくれたようなので」
少年たちの言葉を聞いたマヒワは、木剣を持って立ち上がると、その場で何度か跳躍し、からだをほぐした。
スイリンから長弓と矢筒を受け取ると、
「よし、あたしが先生を助けに行く。スイリンさんはおじさんを、お兄ちゃんたちは助けを呼んできて!」
いい終わると、マヒワはすでに動き出していた。
「承知しました、お嬢様」
「はい!」
マヒワは裏口の扉に手をかけると、スイリンの方を振り返って、
「スイリンさん、向こうの建物の一階、厨房に地下に降りる階段があります。一人じゃ無理だから、お仲間さんたちを呼んで」
と助言した。
スイリンは頷くと、少年たちと建物の表の方に消えていった。
マヒワは裏木戸を少し開けて、からだを滑り込ませた。
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