十三

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 ――敵のつぎの動きを読みながら、最適な行動をとる。 「そのようなところを教えて頂きたいのです」  マヒワの決意表明のような言い方に、コエンは「いいでしょう」と頷いた。 「ありがとうございます! それでは、明日、子どもたちと一緒に帰ります! あれ?」  自然と「帰る」という言葉が出たけれど、孤児院は自分の家ではない。 「孤児院に寄ります、かな? なんだか、わからなくなってきました……」  孤児院に泊まったのは一晩だったけれど、子どもたちとご飯を食べたり、おしゃべりをしたりしていたからか、我が家のような想いが生じていた。 「マヒワ殿は、たいそう面白い方ですね」  コエンが微笑みながら言うと、セトとムーサも笑顔で頷いていた。  マヒワはみんなと一緒に門のところへ行き、砦を出たところで、コエンたちと別れた。  そのとき、三人が目を丸くしたので、その視線の先をたどっていくと、あったはずの雑木林が無残な焼け野原になっているのに気づいた。 「……しまった……やりすぎた……」  その後、草原で遊びまくっていたテンをようやくの思いでつかまえて、街に戻れば門衛たちのお出迎えでやたらと目立って、夜遅くにやっと宿屋へ帰れたマヒワに、カチェが抱きつきにきたのはいいが、鼻をつまんで「くちゃい」といって逃げられた……。  ――! そんな強烈なニオイをまき散らしながら、さっきまでいろんな人たちと会っていたのか、あたしは!  今日の終わりに、一日を振り返ってみれば、とても笑顔ではいられない。  こんな日を「ぐだぐだ」というに違いない。            ~ 第一部 終章へ ~
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