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 バンがこれほど早く情報を集めてこられるのも、決してひとりで駆けずりまわっているのではなく、多くの手下を抱えて働かせていることを、マガンは承知していた。 「ありがたく頂戴いたしやす」  バンの方も遠慮はしない。  金貨の入った袋を捧げ持ち、頭をひとつ下げると、部屋を後にした。  いまや、王都守護庁の長官が作り上げた諜報部隊を、まるごとマガンが引き継いだかたちになっていた。  つぎの王都守護庁の長官が決まらない以上、統制のとれた王都の治安回復と王宮警備の体制がとれるはずもなく、ましてや、王都守護庁そのものの信頼が失墜しているいま、バンを頭とする諜報部隊も、マガンについている方が動きやすいのだろう。  もしかしたら、彼らとしても(あるじ)の敵討ちという腹があったのかもしれない。  いずれにせよ、このときマガンは国内随一の諜報部隊を手に入れていた。
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