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「へい、知っておりますとも。国の存続や発展のために抜きん出た功績のあった方々が準王族に列せられておいでで、王位継承権がないほかは王族の方々に準ずる特権をお持ちだとか……」  マガンはバンの知識に頷くと、 「それでな、イカルが王都守護庁の長官になることが内定したときに、ルリと結婚した」 「それじゃ、イカル様がもともと王族で?」 「いや、イカルは王族ではない。だが、イカルの祖先は建国第一の功労者でな、その功績をもって儂の家系と同じく準王族に列せられた。それで子孫のイカルも儂と同じ準王族だ。儂の弟子の中では衆を抜きんでて優秀であったので、元帥の地位を利用して、王都守護庁の長官に就任するよう働きかけた」  王都守護庁の長官は、王都の治安と警備のために、治安部隊と禁衛軍を動かす権限をもつ。さらに、王族の身辺護衛も所管している。  歴代の王都守護庁長官は王族であったが、近年、跡継ぎに恵まれず王族の数は目に見えて減っていた。  先の王都守護庁長官が身罷ったあと、この役職に相応しい人物を王族から選び出せずにいた。明らかな人材不足、いや、人手不足である。  そこでマガンがイカルの実力を評価して推挙したのだった。  いくら建国の功労者の子孫であるとはいえ、王族でない者が王都守護庁長官になることに不安を覚えた王が、イカルが王族と姻戚関係になるよう、特別に取り計らうこととなった。それと時期を同じくして――、
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