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「おっしゃるとおりです。明日までにカウカンの街に到着するよう、朝早くに出立したのですが、途中で子どもたちが体調を崩しましてね……」
と言ってジュベンは二人の子どもたちを愛情に満ちた眼差しで見た。
「このあたりは比較的治安がよいと聞いておりましたので、護衛隊もいることですし、無理な旅程をやめて、野営をすることに決めたのです」
「確かに、このあたりは安全といわれています。襲った連中は、野盗のたぐいにしては上品な顔つきね。案外、計画的な襲撃かも……」
とマヒワは、近くに倒れている襲撃者を横目で見ながら言った。
そろそろ意識が戻り始めた襲撃者もいたので、近づいて当て身を入れた。
かわいそうだが、また暴れられても困るのだ。
「護衛隊のみなさんの具合はどうですか? 動けるかたは、襲撃してきた連中を拘束してください。まわりにも弓を引いてた輩を三人縛っています」
八名いた護衛隊のうち、半数が殺されていた。
一名は、首に矢が刺さり、瀕死の状態だった。
残りの者に応急措置をして、かろうじて三名が動ける状態だった。
「ひどいものね。隊を組んで長いのですか? ところで、隊長さんは?」
マヒワがラジムに語りかけた。
ラジムが、首に矢の刺さっている重傷者を指し示した。
「こちらが我らが隊長。もう四年ほど一緒に働いてるけど、今回の奴らは、かなりの手練れだったな」
「そうだな、ここまでやられたのは初めてだ」
生き残った隊員たちは疲れ切った口調で言った。
そこへ、バンが息を切らして帰ってきた。
「おじさん、どうだった?」
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