序章

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「あたし、烏衣衆って聞くと、まだまだこころを落ち着けることができない……。剣聖なのに、駄目ね……」  と言って、マヒワは溢れてくる涙をこらえた。 「……お嬢」  忘れたくても忘れられない、あのときの記憶。 「どこよ……どこにいるのよ!」  マヒワの胸の奥で、あのとき自分が何もできなかった悔しさと、肉親を失った悲しみとが()い交ぜになった。 「あいつら、どこに……いるのよ……」  こらえていた胸の奥の痛みは、振り絞るような嗚咽になった。
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