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 そのあとを付いてくる者があった。  ビンズィである。 「父もあとで参ります!」  と、追いついたビンズィがいった。  敷地内のことだから、マヒワはビンズィに先を譲る。  ビンズィも心得て、最短で先導してくれた。  マヒワはビンズィが武器を持っていないことに気づいた。  マヒワは怪訝に思ったが、そのまま先を急ぐ。  マヒワたちが修練場に躍り込んだとき、目の前で長元坊が斬り倒されるのを見た。  数人が長元坊にとどめを刺そうと、剣を突き出した。  ――!  マヒワはその真っ只中に飛び込んだ。 「御光流のマヒワ! さぁ! 束になってかかってきなさい!」  マヒワの剣がキラリと光る。  突き出されていた剣をすべて弾く。  剣士たちは何が起こったか、把握できないでいた。  その隙に、マヒワはできるだけ剣士を倒していった。  手の筋を切り、柄頭の当て身で気絶させ、肩先に突きを入れて、鎖骨を切断した。  真剣を持った相手なので、マヒワも加減が難しい。  致命傷にならない程度に、だが、確実に相手の戦闘力を奪っていく。  一瞬の出来事ではあるが、相手がマヒワに対して防御の陣形を組み始めた。  しかし、防御の陣形が完成することは無かった。  防御の陣形の端にいた剣士が、陣形の真ん中に投げ込まれたのである。  投げ込んだのは、ビンズィだ。  そして、ビンズィの手には相手の武器があった。  ――無手の技!  マヒワが思っている間にも、ビンズィはつぎの剣士の前に踏み込み、わざと斬りつけさせて、その武器を奪っていく。  武器を奪われた相手は、そのままの勢いで投げ飛ばされるか、蹴り倒された。
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