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それに合わせてビンズィが間合いを詰めていった。
そして、剣の間合いに入った。
アインの放った一撃は、実の妹に対して、容赦のない一振りであった。
ビンズィが右足を後ろに引いて、からだを横に開かなければ、腰まで真っ二つにされていただろう。
結果としてアインの剣は、ビンズィのいない、空を斬ることとなった。
ビンズィは、アインに空を斬らせて、一歩踏み込み、柄の中程を左手で押さえた。
そこを支点にして、右手を剣先に添えると、アインの股間の方に押し込んだ。
梃子でこじあけるように、剣がアインの手からもぎ取られていく。
股間に伸びてくる剣先をかわすために、アインは後方に大きく跳んだ。
アインが床に膝をついたとき、のど元に剣先が擬せられていた。
ビンズィが奪い取った剣を突きつけたのだ。
アインは、ゴクリと唾を飲み込んだ。
全身から冷や汗が吹き出す。
そのくらい、ビンズィの動きには、ためらいが見られなかった。
アインはビンズィに気圧されて動けない。
場が凍りついた――。
「雷拳の、長元坊であったか。これでお互い、徒手となった。仇をとってみよ」
と、アオジが長元坊に声をかけた。
長元坊はアオジの声に反応し、頭をもたげ、半身を起こしたあと、ゆっくりと立ち上がった。
額から流れ落ちる血にまみれた姿は、鬼気迫るものがあった。
長元坊は立ち上がってもなお、ゆらゆらと姿勢が定まらなかったが、「俺は――、剣を持ったこいつとやりてぇです」と細い声で言った。
「俺の師匠は、剣を持ったこいつと闘ったんだ。そして勝った。俺は同じ技でそれを証明したい……」
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