5.yura

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5.yura

まさか初恋の相手とこうしてバージンロードを歩くことになるとは。 ちゃんとウェディングドレスを着て。 猫背も治して、髪も伸ばして、メイクもして私も女の子の仲間入りを果たした。 と思ってたけど、女の子って大変だ。 「憧れてはいたけど、やっぱり私には王子の方が楽だ。」 「俺にとっては悠良はずっと女の子で姫だったよ。」 「...また要先輩に何か仕込まれた?」 「なわけないだろ。俺だってそれぐらいのこと言えるわ。」 「そういえば百花と生徒会長、お似合いだったね。」 「まさかあの二人が付き合うとはな。」 百花は大学を卒業するまで生徒会長とお茶飲み友達だった。 お互い就職して、疎遠になったけど去年偶然、例の喫茶店で再会したらしい。 「生徒会長、社会の荒波に揉まれて良い感じに老け込んでてちょうど良かった。」 そうして二人は10年越しに付き合うことになった。 ちなみに要先輩は今だ独り身。 でも親にずっと七恵さんとの結婚を勧められてるらしい。 「死んでも嫌だって言ってたけどな。」 「なんで?可愛らしい人なのに。」 「お前はまだあいつの恐ろしさを知らないから。」 「初恋の人だったくせに。」 「な、なんでお前それを!?」 「もし私と出会ってなかったら今頃、」 「やめろ、そんな恐ろしいことを想像させるな。...そうだな、明日は我が身だったってことだ。」 でも不思議だ。 未だに時々、これは私の妄想なんじゃないかと頬をつねりたくなる時がある。 あの頃と全く同じ気持ちではないけれど、私の中には17歳の恋する私はちょっとだけ存在する。 それはふと、あの頃に戻りたくなって日記を紐解いてしまうからかもしれない。 またさざ波が聞こえる。
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